隠れオタでもいいじゃないか
主にPCゲームの二次創作を書かせていただいています。 あとは最近やっているゲームやら読んでいるラノベやらのこととか……。
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カテゴリー: Canvas2 side story
06月11日(月) [ Canvas2 side story ] # 32 <固定リンク>
- 悔しくも楽しい思い出
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「上倉先生っ!!」
生徒たちが行きかう校舎に私の声が響き渡る。
何事かと私のほうを振り向く生徒たちだったが、声の主とその対象が誰であるかを確認すると、またかといったような呆れ顔に変わる。
「か・み・く・ら・せ・ん・せ・い?」
そう呼ばれた美術教師は、私の顔を見るなり黒猫と出会ったかのような嫌そうな顔そして見せた。
もっとも、その黒猫は前を横切るのではなく近づいてくるのだが。
「いったい部活にも来ずに何をやっているんですか!?」
「あ、いやな、部長……。これには事情が…………そう、とても大切な事情があったんだ」
「そうですか。それは美術教師である先生が、美術部の顧問という職務を放り出してまで取り組まなくてはいけない大切な用事だったんですね? それはもう教え子のことを放り出してまでやらなくてはいけないほどに」
「い、いや……そこまで重要なわけでは無いような…………」
「違うんですか?」
「いえとても大切な用事ですっ!!」
やや目を細めて優しげに問いかけてあげると、何故か先生は敬語になりました。いったいどうしたんでしょうね。それにいつの間にか周囲に生徒がいなくなっているし。
「それで、その用事というのは?」
「それはだな、食後の運動というものだ。そう、教師というのは学校にいる間はあまり動くことは無いからな。それに美術教師だと基本動くことは無いからな。というわけで健康のために校内を歩いて回っていたところだ」
「それはとてもいいことですね。ですが先生? 今はもう放課後ですよ?」
「……………………」
「……………………」
二人分の沈黙の間をからすが泣き声をあげながら通っていった。
Canvas2 竹内麻巳SS 〜悔しくも楽しい思い出〜
「全く、上倉先生ときたら……」
早足で美術室へと戻り席へと着く。思わず溜息をついてしまうほどに私は疲れていた。
「お帰り麻巳。それで先生は――って、そんなこと聞く前に一発で分かっちゃったわ」
お疲れ様、と苦笑を漏らす楓子。そんな一言労われるだけでも苦労が報われるというものだ。
「ありがとう楓子」
「いいって。大変なのは麻巳なんだから」
既に他の美術部員は作業に取り掛かっている。私はイーゼルを用意しながらもう一度溜息をついた。
先ほども上倉先生に部活に来るように言っていたのだが上手く逃げられてしまった。
私が部長になった当時はもう少し部活に来てくれたのだが、最近は何かにつけて部活に来ることを拒んでいるような気がする。
拒んでいる、というのは少し言いすぎかもしれない。が、それでも部活に来ることに対しあまり気乗りしていないのは確かだ。
(いったい何がいやなのかしら。私に油彩を教えてくれたのは上倉先生なんだし。あの時はすごい親身になって教えてくれたのに……。毎日一緒に絵を描いていたのにどうして来てくれないのかしら……。自分でも自覚できるくらい上達して行ったのは本当に嬉しかった。それなのに――)
今日も部活に引っ張ってこようとしたら、偶然通りかかった哀川先生に――
「麻巳〜?」
ふと横から声が掛かる。何かと思い横を向けば楓子が笑いを堪えるような顔でこちらを見ている。それだけではない。見渡せば教室中の部員が手を止めている。とある新入生を除いて。
「……みんな……どうしたの?」
普段は集中している部員が、今は何故か楓子の方を――正確には私のことを見ている。
「あの、竹内さん」
逆側から田丸さんがおずおずと声を掛ける。いったい田丸さんまでどうしたというのだろう。
「あ〜ん、どうして部活にてくれないのかしら。あのときはすごい親身になってくれたのに〜。毎日いっしょだったのに〜」
「なっ!!」
「本当に嬉しかったのに〜」
「〜〜〜〜っ」
「麻巳ってさあ、何気に独り言多いよね。もう聞いてるこっちが恥ずかしいわよ」
なんてことだ、今のが声に出てたなんて……。あぁっ、よく見れば他の部員も笑いに耐えているような。
「は〜い、それじゃあみんな切り替えて作業に戻りましょ。夏休みまでに作品を完成させないと目も当てられなくなるわよ」
楓子が私の代わりに部員に声をかける。本来なら私の仕事なのに、申し訳ない気持ちだ。
いやいや、この騒ぎを起こしたのは楓子なのだからその責任を取るのは当たり前、なのかな? でもよく考えると独り言を呟いていたのは私なんだから自業自得なのかな。でもそれはなんだかおかしいような。
そうだ。どれもこれも上倉先生のせいだ。よし、明日こそは来てもらおう。そうすれば前みたいに絵を教えてもらえるはずだ。
決意を新たに右手を力強く握り締める。ああ、窓の外に先代部長の姿が……。待っていてくださいね。私があの栄光の美術部の姿を取り戻して見せます。
「ま〜み。次は百面相?」
楓子の一言で再び美術部は笑いに包まれてしまった。
「上倉先生」
翌日。私はいつものように気だるげに歩く背中に声をかける。するとまるで万引きGメンに見つかったかのように、とたんに背筋が伸びる美術教師。こんな姿でスーパーにいれば、今からやりますといっているようなものだ。
油の切れたブリキのおもちゃのように振り返る我が顧問。
「こんにちは、上倉浩樹先生」
「お、おう。部長……どうしたんだ? なんだか笑顔が引きつっているように見えるが」
「そうですか? 私はもともとこういう顔ですが。それに引きつっているといえば上倉先生のほうもなんだか変ですよ」
「いやいや、そんなことは無いぞ。俺の顔はいつでも引き締まっている。そう、身も心も常に引き締め生徒と真摯に向き合う。そんな教師をつねに体現しているといっても過言では無いぞ」
「そうですか。言っていることは非常に素晴らしいと思いますが、どうして目線を逸らしながら言うんですか? 何か後ろめたいことがあるのではないのでしょうか。例えば部活のこととか部活のこととか、あるいは部活のこととか」
「あの〜〜部長さん? 何か怒っていないかな?」
「当たり前ですっ!! 昨日は話しの途中で逃げ出して……、それでも教師ですか?」
思わず大きく溜息をついてしまう。先代部長が常に疲れたような表情でいたのも分かる気がする。
「昨日は哀川先生をだしにして逃げられましたが、今日はそうも行きませんよ」
人差し指をびっとたて上倉先生に詰め寄る。
「それに哀川先生に確認しましたから。昨日は特に上倉先生と何も話をしなかったと言っておられましたよ。まったく、哀川先生はバスケ部のほうで忙しいんですからあまり迷惑をかけないでくださいね。先生と違ってお忙しい方なんですから」
「おいおい、それじゃあ俺がまるで暇人のような言い方だな……」
「違うんですか?」
きっぱりと言い返してあげると苦笑いの表情で宙に視線を漂わせる。
「忙しいというのは美術教師の仕事をしてから言ってください。他の先生方の邪魔をするのは仕事とは言いません」
「そんなことは無いぞ。昨日だって本当に哀川先生の相談に乗っていたんだよ」
上倉先生が相談?
いかにも嘘っぽいその言葉に冷ややかな視線を送る。上倉先生は一瞬ひるんだが、それでも気を取り直して話し始めた。
「本当だぞ? だがなその相談というのはプライベートな話でな、おいそれと生徒に話すわけにはいかなかったんだ。だから哀川先生もそう言ったわけだ」
「なんだかあまり信じられない話ですね」
「おいおい、少しは教師を信用したらどうだ?」
「それでは信用に足りる態度をとってください。例えば今日の部活に出て教師としての責任を果たすとか」
そう返すと上倉先生はやぶへびだったとの表情を浮かべた。まったく、教師がなんて顔をしているのかしら。
「あ〜、そうだな、気が向いたら行くことにする」
「気が向いたらって、そう言って来てくれたことなんて数えるほどしか無いじゃないですか。信用できません」
「……まさか回数まで数えているのか? かったるいことしてるな」
「言葉の綾です。とにかく、そんな万年頭の中が桜でいっぱいの駄目人間のようなことは言ってないで今日は部活に来てくださいね!? 約束ですから」
「ったく、そんな勝手に決めんでくれ。俺にもいろいろやることがあるんだよ」
「それならどうして私の目を見て言わないんですか?」
先ほどから全く視線を合わせようとしない先生を、下から覗き込むように見上げる。
「そう上目使いで見上げんでくれ。なんだか変な気分になってくるだろ」
「これは身長差のせいです。それになんですか、変な気分って?」
「それはだな、美人の部長にそんなに見つめられたら恥ずかしくなってしまうということだ」
「なっ――」
「それに竹内と目を合わせているとな、こう緊張するんだ。いやいや本当に高校生とは思えないな」
「そ、そそそそんなお世辞は結構です」
「そんな謙遜するなって。俺は本当のことしか言わないぞ――っと、もう昼休みが終わるな。部長も早く教室にもどれよ」
「美人…………」
私は早足で廊下を進む上倉先生をよそに先ほどの言葉を反芻していた。
上倉先生は顔がいいだけにああいう台詞が違和感なく似合ってしまう。そのあたりの女生徒ならコロっと騙されてしまうのではないか。もちろん私はそんなことで騙されたりはしないが。
「はぁ……」
小さく息を吐きながら教室へと足を向ける。
なんだか気分が高揚していたのは何故だろうか。
軽くなった足で廊下を進み――
「あ〜〜〜〜っ!! 誤魔化されたっ!!」
――自分の失態に頭を抱え込んだ。
「今度こそは……」
放課後、私はホームルームが終わると急いで美術準備室の前に行き、上倉先生を待ち伏せることにした。
私がちょうど準備室の前にたどり着いたまさにそのとき、ドアが開き上倉先生が姿を現した。
「こんにちは上倉先生。どこかにお出かけですか?」
鞄を手に持ちいかにも帰りますといった雰囲気を纏っている教師に、私はにこやかに挨拶を投げかける。
「部長……どうしてここにいるんだ……?」
「何をおっしゃっているんですか? 美術部の部長が顧問と話をしに来たんじゃないですか。特におかしいところは無いと思いますが」
「まあ、そうだな……」
冷や汗を拭う上倉先生。私はにこやかに挨拶をしただけだというのに、いったいどうしたというんでしょうね。
「それで最初の質問に戻りますが、いったいどこへお出かけでしょうか?」
「いや、これには深い事情があるんだ」
「いいでしょう。その深〜い事情というのを教えてくれませんか?」
一瞬言葉に詰まった上倉先生でしたが、一度咳を入れてその事情を話し始めました。
「実はだな、今日は体調が悪いんだ。本当は出たいんだがな、こんな調子で出ても部長に迷惑を書けるだけだと思ってな。それで今日は早めに帰ることにしたんだ」
「体調が悪いんですか? それならどうして昼に会ったときに言ってくれなかったんですか?」
「いやな、病は気からって言うだろう? だから気力で何とかなると思ったんだが、やっぱり駄目だったんだよ……」
「上倉先生……」
知らなかった。私は上倉先生が我慢していたことにも気づかず部活に来て欲しいとしか言わなかった。
「いいんだよ、部長。教師っていうのは生徒の要望に応えるもんだ。それも熱意のある生徒の頼みなら尚更だ」
気丈にも笑顔を見せる上倉先生。それでもその顔はなんだか辛そうだ。
「今はコンクール前で大変な時期だからな。俺の勝手な自己満足で部員に迷惑をかけるわけにはいかないからな」
「そんなことはありません!! 上倉先生のお気持ちは私が受け取りました。代わりに私が美術部をまとめますから。先生はゆっくりと休んでください」
「すまないな竹内…………」
「気にしないでください。それよりもごめんなさい」
「それこそ気にするな。――それじゃあ後は頼んだぞ、部長」
「はいっ!!」
上倉先生を見送りながら私は気持ちを入れなおした。
「先生、私はちゃんと代わりを勤めます」
右手を握り締めながら空を見上げる。清々しい青空に約束をかわした。
「鳳仙さん、上倉先生の体調はどう?」
「えっ?」
「ほら、昨日体調が悪くて帰られたでしょう?」
「あの……」
「本当はお見舞いに行こうとも思ったんだけど、さすがに迷惑かなって思って。それで先生の容態はどう?」
「元気、ですけど……」
「それなら良かったわ。もしかして鳳仙さんが看病してくれたのかしら?」
「竹内部長、さっきから何の話ですか? お兄ちゃんなら私が帰ったときから元気でしたけど。昨日もご飯を作った後はごろごろしながらテレビを見てましたよ」
「………………え?」
「ですから、体調なんて悪くありませんでしたよ。寧ろいつもより元気そうでしたけど」
「う〜〜っ、また騙された〜〜〜〜っ!!」
「てな感じだったよな」
「もう、その話は忘れさせてください」
キャンバスの横で上倉先生と共にコーヒーを飲む。
横には完成を待つ私の作品。正面には私に苦渋をなめさせた当の本人。
「あれから一年もたってないんだよな……」
懐かしそうに呟く上倉先生。
確かに私も懐かしく思う。もしあの頃上倉先生が真面目に顧問をしていたら今の私はどうなっていただろうか。IFは好きではないのだが、それでも考えてしまう。
こんな風に冬休みになってまで連日美術室に篭ることはなかっただろう。それに上倉先生とこんなにも親密になるなんて――――
「そうですね。上倉先生のおかげで退屈しませんでしたから」
「おいおい。そんなことを今更持ち出すなよ。今は真面目に出てるだろう?」
「さっきのお返しです」
小さく笑いながら描きかけのキャンバスに目を向ける。
私の素直な気持ちを籠めた水彩画。上倉先生が私の心を見たいといったから筆を執ったこの絵。絶対に完成させてみせる。
そう思い右手を強く握る。
くしゃ、という感触と共に零れ落ちる液体。
「熱っ〜〜、って眼鏡が〜〜」
「大丈夫か? ほら、こっちに来い」
手を握られて流し台の前に連れてこられる。
「気をつけろよ。絵描きにとって手は命みたいなもんだ」
手首を掴む上倉先生の体温が伝わってくる。
そうだ、私はこの人を繋ぎ止めるためにも絵を完成させる。そして私の気持ちを伝えてみせる。
――けれど今だけはこうしててもいいわよね?
半歩となりに移動する。
絶対にこの温もりを話したくないから。
申し訳ないっす。(⊃Д`。)゜
との一言ですね。
中間テストとか実験とかバイトとか部活とか……。この時期はどうしてもね。
とにかくリクエストで多かった部長の苦労話を。やっぱ難しいな〜。某所の部長サイトはとてもがんばっておられるとしみじみ感心しました。
次はドラゴンを進めようかな。まあ予定は未定。
ついでに大それたことを考え中。
その内容を少し話すとね、Fateにどうしてイリヤルートが無いのかと。
常々思っていたのですが、ないのならいっそと。
まあできたらですけどね。今は描きたいのに時間が無い。
気分はザ・ワールド。ついでに時よ止まれ――って感じ。
新進気鋭の小説家、ただし執筆は老後の楽しみ、みたいなっ!
mixiより。こっちも見てやって……


作者と読者をつなぐ架け橋とならんことを☆







