隠れオタでもいいじゃないか

主にPCゲームの二次創作を書かせていただいています。  あとは最近やっているゲームやら読んでいるラノベやらのこととか……。

「それは舞い散る桜のように完全版」2008年10月30日発売

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  [ 未分類 ]   # 47  <固定リンク>

第二作投下予定
 祭り用にもう一個SSを作りました☆
 キャラは美咲姉妹。メインは菫(のほうだけど、出番はとんとんぐらい?)でサブは主人公共です。今日ふと思いついて(ほぼ)書き上げました。一応許せるぐらいの出来ではないかと(*´・ω・)

 んでそろそろ新たな境地にも踏み出そうかと考え中。まあ新しいゲームのSSを書こうかと。
 というのも朋子SSを書いたけれども、どうにも納得行く出来ではないな〜って感じで。(⊃Д`。)゜  だからまあ、気分転換というかネタを出すためというか……。

 というわけでなんかリクあったらお願いします。というかなんか言ってやってください。メージャーからマイナーまで何でもオッケーデスよ。ある程度のものは持っているで。まだやってないものなら今から始めるんで、ちょっと時間くださいな◎ もし持ってなかったらゴメンナサイ↓
 
 一応前にCANVASのほうのSS書いてと言われたので、今回も菫と彩との話を出しました<(-_-)>

 今年中に更新できるかかなり微妙ですけど、正月用になんかSS書きたいな♪

  [ 藤浪朋子 SS ]   # 46  <固定リンク>

それはすぐ傍に(23)
 静寂に満ちた小さな空間。そこで唯一音を奏でるのは時を刻む針の鼓動だけだった。
 一瞬が永遠にも感じられ、悠久に引き延ばされた時間は無常にも痛みを伴わせる。

 そこにいるのはたった二人。
 世界から隔離されたただ一つの空間。確かに世界の一部でありながら、それでいてここもまたひとつの独立した世界だろう。
 しかしそんな小さな世界にいる二人の視線は決して交わろうとはしなかった。男は確かに女を真摯に見続けていた。けれど女はそれを知っていながら彼のことを認めようとはしなかった。


 ――要するに上倉先生がやっと見舞いにやってきたということで。

                               (23)

 上倉先生が病室にやってきてから数分。個室という限られた空間でありながら私たちの視線は一度として交わってはいなかった。というのもすっとこんな感じだからだ。

「…………」
「え〜っと……」
「…………」
「なんと言うか……」
「…………」
「昨日のことなんだがな……」
(――――ドン!!)
「うっ……」
「…………」

 そんなわけで一向に話は進んでいない。まあわざとやっているのだが。
 と言っても何の意味もなくこんなことをしているわけではない。散々待たせてくれた昨日の分の仕返しと、ちょっとした駆け引きだ。真崎さんにも言われたが、正直私はちょっと思考が短絡的過ぎるような気がする。さすがに直感や本能で生きているわけではないが、それでももう少し思慮深くなっても損は無いと思う。
 そんな理由があってこの状況だ。いつも動揺してばかりの私だが、少しばかり優位に立ってみるのも悪くない。

「なあ……藤浪に言いたいことがあるんだ」
「…………何?」
「実際言いたいことというよりも言わなきゃいけないことというか……、まあ謝らないといけないことだ」
「……………………」
「月曜の約束のことなんだが」
 その言葉に体が硬くなる。
 確かに約束を破った上倉先生に対する不満や憤りを感じるのは確かだ。けれどこの人が何の理由もなく他人との約束を保護にするとは到底思えない。要するに理解はできても納得はできないというある意味どうしようもない話だ。
「本当に悪かった。昨日はその、いろいろあってな……それで約束のことを思い出せなかったんだ。だけど決して藤浪との約束を軽く見ていたわけじゃないんだ。それだけは解って欲しい」
 そういって先生は深々と頭を下げた。
 この人が私との約束をいい加減な気持ちでしたわけではないということは十分理解している。私が子供だからといった理由で軽んじたりはしない。この人はいつも他人と対等に接しようとする。何度も口喧嘩になったしまったのはこの人は私と同じ目線に立っていてくれるから。決して上から見ていたりはしない。だからこそ私は――――

「………………」
 上倉先生は黙ったまま頭を下げている。
 とても居心地が悪い。
 別にそこまで謝る必要は無いだろう。たかが私との約束だ、ちょっとした謝罪で十分だろう。
「……ねぇ」
 思わず口を開いていた。このなんともいえない微妙な空気が嫌だったし、それ以上に先生を傷つけたくなかった。
 そんな想いは多々あったが、とっさに出た呼びかけだったので次に続く言葉がなかなか見つからなかった。
「…………その事情って言うのは話せないの?」
 そうして沈黙の末に出た言葉はなんとも劣悪なものだった。
 事情? 事情だと? そんなもの話せるわけ無いに決まっているだろうが。そうでなければこの人はとっくにその理由を説明している。寧ろ込み入った事情で無いならこの人は他人との約束を忘却してしまうほどに悩んだりはしない。
 苦々しげに短い返事を返す先生。耐えるようにぎゅっと結ばれた口元が無理に微笑みの形に作られる。苦笑よりも悲哀の表情に程近いその笑顔が痛々しかった。
「悪いな……代わりと言ったらなんだが、一つだけ頼みを聞いてやるよ」
「……なんでも?」
「ああ。といってもあんまり無茶な頼みは聞けないけどな」
「例えば…………き、今日一日ずっとここにいてほしいとか?」
「そ、そうだな……」
 ちょっと赤くなりながら困った表情を浮かべる先生。けれどもそれ以上に私の顔のほうが赤いだろう。
 思いっきり照れの混じった表情を背け何とか平静を取り繕う。恥ずかしさの余り、思わず逃げ出したくなった。けれどそのおかげで先ほどよりも緩んだ空気が二人の間にあった。
「そ、それじゃあさ、また明日も来てくれる?」
 先生とは視線を合わせないまま二番目の望みを口にした。きっと言わなくてもこの人は来てくれるだろうが、それでも明日の約束した上で一緒にいるということがとても幸せだった。
「分かった。約束するよ」
 そう言って微笑んでくれることがとても嬉しかった。
「絶対だからね。病院でじっとしてるのってものすごい暇なんだから。特に昨日は誰かさんのことずっと待ってたから余計に暇だったし」
「それは悪かったって……」
「冗談よ。別にぐちぐち言うつもりは無いわよ。本当は来てくれるだけでも感謝しなくちゃいけないからね。なんと言っても唯一の来客者だしね」
「え……唯一って?」
 先生は私の言葉にひどく驚いていた。私には暫くの間何故先生が驚いているのか分からなかったが、先生が続けて口にした言葉でようやく理解できた。
「俺のほかに誰も来てないのか?」
「え? 来て無いわよ。というより誰かに病室の場所教えたことも無いし。それに来ようと思う人なんかいないわよ」
 それは私を見舞う人なんかいないから。自嘲的にそんなことを思いながら首を横に振る。だが私としてはなんてことの無い話だったのだが、先生は逆に神妙な顔をして黙ってしまった。
「あっ、先生以外にも来た人いたわ」
 深刻そうな雰囲気に傾きかけた空気を何とかしようと、言い訳のように記憶からひねり出す。先生はその言葉に安堵したようで、表情を和らげて「誰が来てくれたんだ?」と問いかけてきた。
「夏休みの頃に理事長の代理っていう人が来てくれたわよ」
「……それ以外は?」
「え? いないわよ」
「理事長代理だけか? 友達とかは来てくれないのか?」
「まあいたら来てくれるんでしょうね。上っ面の気遣いを引き連れてね。生憎私にはそんな友達は願い下げなのよ」
 そう言い放つと、先生は困ったような怒ったような悲しんでいるような、どうとも取れる表情を浮かべた。
「そんなに意地を張るなよ。手術を受けて後は元気になるだけだって言うのに意地を張ることないだろう?」
「誰が意地を張ってるのよ!? 私は本心で言っているのよ!!」
思わず声を張り上げてしまった。自分でも驚くほどの声が病室の中に響き渡り、合わせてなんとも気まずい沈黙が生まれる。
しかしそのおかげで冷静になることができた。それでも気まずくて先生とは目を合わせられなかった。別に意地を張っているつもりは無い。けれど先生の言っていることが全て的外れというわけでもない。
「………………」
「………………」
 沈黙が痛い。
 お互い何かを言い出そうとする空気はあるのだが、その一歩手前で踏みとどまってしまう。どちらかが悪いというわけではないが、それでもつい視線を合わせられすにいる。
「………………」
「………………」
 そうして何度か口を開こうか逡巡した後、ようやく言葉が生まれた。
「……分かったよ」
 もちろん臆病かつ頑固と自覚している私から会話を切り出せるはずもなく、最初に切り出したのは上倉先生だった。
「今までのお前がどうだったかは知らないがな、これからは友達を作ること」
 そんな小学生に向けるような台詞を口にする教師。子供じゃないんだから今更そんなことを言わないで欲しい。
「お前は変なところで子供みたいだからな。なんて言うか、思考は妙に大人びているくせに嗜好が妙に偏っているところとか」
 私の考えを読み取ったかのような返答。しかもその内容は確かに私の行動に当てはまっている。
 見通されているという微妙な不満感と、それ以上に私のことを理解してくれているという充足感が私の中を満たしている。そんな気持ちを少し気恥ずかしく感じながら口を尖らせる。
「……友達作れって言われても私入院してるんだけど」
「へぇ、そうか……」
 けれど先生はその言葉を待っていたかのように笑みを浮かべた。
 悪戯を思いついた子供のように、悪の幹部のひざの上に乗るシャム猫のように、新婚夫婦を見守る大家のように――ニヒルとは程遠く、揶揄に程近い善意の笑顔。常に怠慢に冷徹さを混ぜ合わせたように見えて、その一方で真摯で情熱を秘めている。クールでいようとしながら時折無邪気な一面を見せるこの人は、本当に不思議な人物だった。
 世の中には惚れたほうが負けという本当に馬鹿らしい言葉があるが、類に漏れずその通りに感じてしまうこの私は大馬鹿に違いない。自分には無いものを持っている先生にどうしても惹かれてしまう。夢もなければ他人に自慢できるものも無い。努力できる目標もなければ他人を引き付ける心も無い。
「ならさ、もし藤浪を友達が訪ねてきたら素直に仲良くできるか?」
「来たら、ね」
 ありえない、と馬鹿にすると先生は罠に掛かった獲物を見るように何度か頷いた。
「それなら明日を楽しみにしてろ。俺が連れてきてやるよ」
「……は?」
 文脈から考えれば友達を連れてくるということだろうか。というより誰を連れてくるつもりだろうか。
 しかしその至極一般的な質問を返すことができなかった。余りにも意味不明で、というわけではなく別の要因で。
「まあ俺に任せておけって」
 やけに自信を持っている先生の手のひらが私の頭に乗せられたからだ。
 ぽんぽん、と頭を撫でながら笑いかけられた私は、瞬間湯沸かし器のように一瞬にして赤面してしまった。
 私の手より一回り以上大きい大人の手。緊張と混乱とそのたもろもろの感情で目の前がぐるぐると回る。けれど嫌ではないらしい。その証拠に頭に載せられた手が離れたときに思わず名残を惜しむかのような声が無意識に漏れてしまった。
 離れてしまってからようやく私が喜んでいたことに気が付いた。真崎さんのような母性を感じさせる暖かさではなく、ドキドキするような安心するかのような幸福感。私は上手く働かない頭を抱えたままぼんやりと先生を見ていた。
「それじゃあそろそろ帰るな」
「もう帰るの?」
 思わず呟きが漏れてしまった。聞こえるかどうか分からないほどの大きさだったが先生には届いていたらしい。病み上がりだからな、と私を気遣い再びドアのほうに足を向けた。
「――言い忘れてたが」
 ドアを開いたままこちらを振り返り――
「手術、成功してよかったな」
 本当に嬉しそうに微笑んだ。
 私はというと赤くなった顔のまま呆然と先生を見送った。
 ドアの閉まる音。コツコツと廊下を歩く足音。その音が過ぎ去ってから数十秒後、ようやく私は動き出した。
 ――というより悶えだした。
 思わず枕に顔を押し付けるけどそれでも心臓の音がとても大きく聞こえる。そのまま布団をかぶり丸くなる。
 先生がよかったな、といったときの表情。本当に嬉しそうで心の底から私のことを心配しているようだった。自惚れかも知れないし自意識過剰なただの間抜けかもしれないけれど、今だけはそれでも構わなかった。
 ああもうなんだこれは。本当に嬉しすぎてどうにかなりそうだ。
 布団をかぶったままごろごろとベッドの上を行ったりきたり。体が喜びを表そうとうずいて我慢できない。ベッドを叩き続けて丸くなり、ぶるぶると震え幸せをかみ締める。
「よかったな、だって……」
 丸くなったまま小さく呟く。自分に言い聞かせるように幸福感を何度も味わう。

 そのまま数分間、一生のうちに何度味わえるか分からぬ喜びを感じていたが、私はふとデジャビュに襲われた。ここ最近何度か陥っていた展開。瞬時に飛び起き入り口に目をやる。その瞬間目に飛び込んできたのは――
 ――何の変哲も無いドアだけだった。
 そこに家政婦のように私の痴態を除き見たりする看護師はいたりせず、無人の空間が鎮座しているだけだ。
「ふう……思い過ごしか……」
 一瞬の緊張感とそれに見合った深い安堵の溜息。まああの人も仕事があるだろうから創何度も訪れたりはしないだろう。
 安心した私は一休みしようと布団に手をかけた。
 そうしたら目の前にいた。これは新しいパターンだった。
「ちゃんとノックはしたんだけど、朋子ちゃん気付かないみたいだったから。御免なさいね」
 部屋の掃除をしながらそう答える真崎さん。けれどいつものように私を揶揄したりせずてきぱきと仕事をこなしていく。こうやって見ているとやはりこの人は優秀な人物だと実感できる。けれども何の反応も無いのも気になるのだが。
「あの……もしかして見てましたか?」
「見てたけど……もう気にならないわよ。上倉さんの来た後の朋子ちゃんが可笑しいのはいつものことじゃない。そんなことは病院にいるみんなが知ってるわよ」
 何気なくものすごいことを言ってみせる真崎さん。その苦笑が痛い。
 ちなみに変人のレッテルを貼られた私はというと愕然とするしかなかった。


「友達、ね……」
 結局一晩中考えてもいい答えが見つからなかった私は、翌日になっても考え続けていた。
 既に時間は短針が真横を過ぎた後、つまりは単純計算で丸一日ほど考えていたことになる。
 友達という単語で真っ先に浮かんできたのはタロウの顔、というか姿。真っ先に猫が思い浮かぶのはどうかと思うが浮かんできたものは仕方ない。それからどうやって太郎を連れてくるのだろうかと悩み続けて一時間。そうしてようやくそれは無いだろうという結論に辿り着いたがそこから次の疑問が生まれる。
 ――では誰を連れてくるつもりなのか?
 残念かどうかは分からないが、私が今までの人生で一瞬でも友達だと感じた人間はそう多くはいない。加えて今でも友人だと認めている人間は皆無に等しい。そんな私の友人をいったいどうやって連れてくるのだろうか。
 そうやって一日ずっと考えていた。おかげで今日の昼食を思い出せないくらいだ。けれど悩んでいる間もどこか楽しんでいた。上倉先生が私の友人を連れてくるといったのだ。ならばそこに誤魔化しやその場しのぎの嘘を言うはずが無いだろう。その信頼感が私に久々の期待感を抱かせていた。

 そんな嬉しい悩みを抱えているとノックの音が病室に響いた。時間を見れば四時を半分過ぎた頃。つまりはいつもの時間。
「は、は〜い」
 ちょっと震える声で返事を返す。怖いもの見たさに期待をブレンドした緊張感。そんな私にドアの向こうから返事を返すいつもの声。続いて聞こえるどこかで聞いたことのある声。けれど疑問をはさむ前にドアが開けられていた。
「よう藤浪。期待してたか?」
 期待とは友人の話だろう。今の今まで考えていたので楽しみだったのは間違いない。
「まあ先生がどんなボケをしてくれるのか楽しみだったからね」
 入り口で留まった先生に返事を返す。まだ病室に入ってこないのはその後ろに件の人物がいるからだろう。
「それじゃあ紹介してやろう。――ほら、こっちに来いよ」
 そういって先生は私の友人らしき人物を部屋に招きいれた。
「な。お前の友達だろ?」
 けれど既に私には先生の言葉が耳に入っていなかった。
 私の全神経はその人物に向けられていたから。

 私が『それ』を見間違えるはずが無い。

 目にした瞬間に感じるのはそ美しさ。
 どんな織物よりも華麗にたなびくその金糸。流麗なその髪はシルクのように滑らかな線を描いていた。

 その瞳は底が見えないほど澄んでおり見るものを捉えて離さないようだった。蒼く純粋に輝くその美しさは、彼女の髪に合い混じりさながらラピスラズリのようだと形容するのが適格だろう。

 そして欠点を挙げがたい身体を纏うその空気。ただそこに『ある』だけで他者を引き込むカリスマ性。そしてそれは彼女が世界を描いたときにより一層輝くことだろう。加えてその境遇。聞くものに憐憫を抱かせるその生い立ちは彼女をヒロインへと引き上げさせる。まさに言葉通り『偶像』という語源どおりのアイドルに等しかった。


 そう、本当にこの世のモノとは思えなかった。


「ほらエリス、お前も挨拶しろよ」

 鳳仙エリスがそこにあった。

テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

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